再びAcceleDent について… 最近の研究についてキーオピニオンリーダーがコメントしています!
再びAcceleDent について… 最近の研究についてキーオピニオンリーダーがコメントしています!
私のブログの読者は、振動力が歯の動きに影響するという仮説には高品質のエビデンスがないことを知っているはずです。 AJODOの最新版には、AcceleDent研究に対してキーオピニオンリーダーからの意見が掲載されました。今回の投稿はそれらの反応について述べます。
私はAcceleDentについて何度か投稿してきました。その中で、良質なRCTの結果では、AcceleDentが歯の動きの速度を増加させるというエビデンスがないことを示唆していると私は指摘しました。Peter Miles の最新の研究が昨年のAJO-DO7月号に掲載されています。
この論文が出版された後、数名の著名な矯正歯科医が、彼の研究についていくつかの懸念を表し注意を喚起しました。AJO-DOの編集部はAJO-DOの最新版でキーオピニオンリーダーの意見とPeterの返信を掲載しました。
この意見のなかで、Peter Milesを含む著者の2人はAcceleDent社に貢献していて潜在的な利益相反があると報告しました。Peter Milesは返信の中ですべての懸念に対して簡単にそんなことはないと返しました。
しかし、私はリーダーたちの意見の中で述べられていた内容に興味を持ちました。
“患者がほぼ毎日(約7ヶ月間平均月に26回)装置を使用したとき、歯のアライメント、レベリング、および大臼歯の遠心移動の割合がわずかに増加したと報告された”
このデータは、Journal of Clinical Orthodonticsに掲載されたJay Bowmanの 2編の論文から得られたと言っています。だから、私はそれらを読み直すことにしました…
Bowmanの二つの論文を別々に読みましたが、結果はまとめて考えました。
Bowmanは何をしらべましたか?
第1の研究では、AcceleDentがレベリングとアライメントの割合を増やすことができるかどうかをしらべました。Class II非抜歯治療に対するAcceleDentの効果を研究するための後ろ向き研究です。まず117人の患者のサンプルを特定し3群に分けています。
- AD群:AcceleDent治療を受けた30人。4週間間隔でチェック。(AD=AcceleDent)
- SC群:AcceleDentなし37人。4週間間隔でチェック。(SC=Study control)
- PAD群:AcceleDentが彼の臨床に導入される前に治療を受けた50人(PAD=pre-AcceleDent)。5-7週間隔でチェック。私はこれらデータの収集が前向きに行われたのか後ろ向きに収集されたのかはわかりませんでした。さらに、彼は来院予約のタイミングに関して群間で異なるプロトコルを用いて治療していました。
データを収集は治療開始時および以下の時点で行いました。
- アライメントの終了時。 017×025 SSワイヤを装着できると定義されています。
- レベリングの終了時:019×025 SSワイヤを装着できると定義されています。臨床医によってはこのサイズをレベリングに使うこともあるので、私にはこれがレベリングの終わりとどうして言えるのかわかりません。
これらが主観的な臨床のエンドポイントであり、臨床的妥当性を研究に付与できていると考えなければならないと私は思いました。しかし、私はまた、術者が治療の割り当てをブラインドにしていないことを指摘しなければなりません。間違いなく、これは相当なバイアスにつながる可能性があるでしょう。
彼は何を見つけましたか?
PAD群はプロトコルが異なっていたので、AD群とSC群の結果のみを検討することに決めました。私は結果の表を作って、95%信頼区間を計算しました。
Piezocision | Control | Difference | |
---|---|---|---|
Days to alignment | 102 | 112 | -10 |
95% CI | (83-120) | (84-139) | (-41-20.9) |
彼はアラインメントにおいて臨床的な差異を見出したけれど、統計的に有意ではないと述べました。結果として、これは偶然発生した可能性があります。レベリングについては統計学的および臨床的に有意な差がありました。
さあ次の論文を見てみましょう。
彼は何を調べたのですか?
AcceleDentが大臼歯の遠心移動の速度に影響を与えるかどうかを調べるために、この研究を行いました。これは後ろ向き研究でした。彼はAcceleDentを使った30人の患者と、コントロールとして使わなかった30人を特定しました。
彼は治療の開始時と遠心移動終了時にデータを収集しましたが、このタイミングは術者に任されていました。ここでも2群の振り分けはブラインドではありませんでした。セファログラムと患者記録からデータを集めました。
彼は何を見つけましたか?
大臼歯のティッピング、圧下、またはクラウンの遠心移動において、2群間で差異はありませんでした。唯一の違いは、AcceleDentグループの患者の根尖の遠心移動量が、コントロールより1.2mm大きかったことでした。これには約220日間かかっています。
私がどのように考えたか?
私はこれらの論文をまとめて考えることにします。私の意見では、彼らは以下の方法論的な問題を抱えています。
- これは後ろ向き研究であり、選択バイアスがある可能性が高いことを意味します。
- サンプルサイズの計算はありませんでした。
- AcceleDentを使うかどうかの振り分けはブラインドではありませんでした。データ収集ポイントが非常に主観的であったことも非常に重要です。
- 信頼区間は非常に広い。これは、データには多くの不確実性があることを意味します。
- 統計学的有意差と臨床的有意差の間に混乱が見られます。
これらの問題を無視できたとして、研究の全体的な知見を検討したならば、AcceleDentの唯一の効果は、
- 上顎大臼歯の遠心移動では、根尖においてコントロールより1.2mm余計に移動させる
- レベリングの時間を48日短縮する。しかし、信頼区間を見ると、単純計算で8日から87日短縮すると言っている。
私はまた、Bowmanがこの問題を認識し、次のように述べていることを指摘したいと思います。
“効果の有意性がナイフエッジの上でバランスをとっているようなものなので、金銭の時間的価値と時間の金銭的価値についてのこれからの調査結果を踏まえて臨床応用を考えるべきである。”
私はこれに同意します。しかしまだAJO-DOで述べられている次の文章が私を混乱させています。
“患者がほぼ毎日(約7ヶ月間、平均26回/月)装置を使用したとき、アライメント、レベリング、大臼歯の遠心移動の率は適度に増加したと報告された。”
私たちはどこに置いていかれるのでしょうか?
私はAcceleDentのオピニオンリーダーからの意見について考えました。私がいま感じていることは変わっていません。AcceleDentが歯の動きの速度を高めるという高いレベルのエビデンスはありません。
来週AAOの学会です。私はAcceleDentの商社展示ブースで営業の人とキーオピニオンリーダーでいっぱいになると確信しています。さあ、彼らにこの研究について尋ねてみよう!
Emeritus Professor of Orthodontics, University of Manchester, UK.